春日野音楽祭春日野音楽祭

春日大社境内・三条通を中心とするまちなか・奈良公園にて開催される音楽フェス「春日野音楽祭」

【スペシャルトーク・自然、水、命をつなぐ】①を公開しました。

【スペシャルトーク・自然、水、命をつなぐ】
01:神道における「自然の恵み」とは


奈良の美しい自然環境のなかで開催する春日野音楽祭。第3回となる2018年からは、サラヤ株式会社に音楽祭のグリーンパートナーとしてご参加いただいています。ここでは、その取り組みを記念して、代表取締役社長の更家悠介氏と春日大社・宮司の花山院弘匡氏の特別対談を行いました。パート1では、「神道における自然の恵みとは」をテーマにお届けします。


更家悠介:本日はお時間をいただきありがとうございます。春日大社に寄らせていただいた途端に、もうなにか空気が違うなと感じました。
自然のなかに囲まれて、そのなかで宗教的な営みをなされている。それが千年以上、しかも、原生林のなかで続いてきている。これは世界で唯一のことだと伺っていますが、花山院宮司は「自然の恵み」についてどのようにお考えでしょうか。

 

花山院弘匡:神道とは、人間は自然のなかで生かされているという信仰です。自然から恵みを得て、そしてそれによって、健康で幸せな時間を紡いでいく。その時間のなかで先祖、父母から私たちの生命が生まれて、そして子や孫へと命がつながっていく。そのサイクルというものは自然が破壊されたようなところでは、当然成り立たちません。
この自然が活き活きとしているということが、人間が生きていくための基盤であり、それを神様はお力を出して、その恵みを支えてくださっているのですね。
日本の神道では青々とした緑は神様の力です。その緑を、神社では「鎮守の森」といいますし、また、神棚に捧げる榊も青々とした緑です。それらは、私たちは自然のなかで生かされているということへの感謝であり、日本の神道とはそういった信仰なのです。

 

更家:千年にわたって自然を守りながら時代をつないできたわけですね。今後の持続可能性や世界の自然を考えた時に、例えば、世界各地から大勢の人々が春日大社を訪れて、感心されることも多いと思います。

 

花山院:よく「宇宙船地球号」ということが言われますけども、日本人というのは、自然と共生して生きてきました。
外国では、例えば「パイオニア」という言葉がありますように、これは良い悪いではなく、自然を開拓する、制服するという意味がありますね。それに対して、日本は自然と共にどう生きていくのか、その美しい自然のなかで自分自身も感謝しながら、どう繁栄していくのかという志向が強いのだと思います。
春日の場合は原生林があって、そこに千数百頭の鹿が人々と共に共生しています。これはある意味で、これからの地球全体が考えていくことの一つの目標、あるいは、シンボルになるのではないでしょうか。

 

更家:私どもの「ヤシノミ洗剤」は、ボルネオで取れるパーム油を原料とした植物由来の衛生製品なんですね。ただ、パーム油を栽培するプランテーションが増えることによって、ボルネオの野生動物、オラウータンやゾウの生息地である熱帯雨林が減少してしまった。このことが世界的にも問題になり、熱帯雨林がどんどん伐採されてしまったという批判がを浴びました。
そこでNPOのみなさんと一緒に、少なくとも河川周辺の緑を回復させようという活動や、農地に紛れこんでくる子ゾウを保護しする活動などを、「ヤシノミ洗剤」を使っていただいている消費者の方々と共に行っています。
今日、花山院宮司から伺った春日という地の自然の在り方や、神道における自然の捉え方も参考にさせていただきたいと思います。

 


※02:「水」の大切さにつづく。

スペシャルトーク・自然、水、命をつなぐ】INDEX

01:神道における「自然の恵み」とは。
02:「水」の大切さ。
03:
 
いのちをつなぐ/未来への倫理
(世界手洗いプロジェクト)

 

SARAYA×KASANNOIN

 

■プロフィール

花山院 弘匡(かさんのいん・ひろただ)
1962年、佐賀県生まれ。1986年、國學院大學文学部神道学科卒業。奈良県立高等学校教諭を歴任し、2008年、春日大社宮司に就任、現在に至る。花山院家は、五摂家に次ぐ九清華家の一つで旧侯爵家。花山院家第33代目当主にあたる。春日大社宮司としては明治以降で第11代目となる。2016年、第60次式年造替を執り行う。著書に『神道 千年のいのり 春日大社の心』(春秋社)、『宮司が語る御由緒三十話 春日大社のすべて』(中央公論新社)がある。

 

更家 悠介(さらや・ゆうすけ)
1951年生まれ。1974年大阪大学工学部卒業。1975年カリフォルニア大学バークレー校工学部衛生工学科修士課程修了。1976年サラヤ株式会社入社。取締役工場長を経て1998年代表取締役社長に就任、現在に至る。1989年日本青年会議所会頭、大阪商工会議所常議員、関西経済同友会常任幹事、公益社団法人日本食品衛生協会常任理事、ボルネオ保全トラスト理事、公益社団法人日本WHO協会副事理長などを務める。

 

春日大社
春日大社は、今からおよそ1300年前、奈良に都ができた頃、日本の国の繁栄と国民の幸せを願って、遠く茨城県鹿島から武甕槌命(タケミカヅチノミコト)様を神山御蓋山(ミカサヤマ)山頂浮雲峰(ウキグモノミネ)にお迎えした。やがて天平の文化華やかなる神護景雲2年(768年)11月9日、称徳天皇の勅命により左大臣藤原永手によって、中腹となる今の地に壮麗な社殿を造営して千葉県香取から経津主命様、また大阪府枚岡から天児屋根命様・比売神様の尊い神々様をお招きし、あわせてお祀り申しあげたのが始まりである。
御創建以来、20年毎に斎行される式年造替という制度により、社殿の御修繕、御調度の新調、祭儀の厳修により日本人の命が連綿と受け継がれ今日に至る。また、全国3000に及ぶ春日の御分社、奉納された3000基の燈籠は、その厚い信仰の広がりを示している。今日も昔と変わらず、毎朝毎夕の神事の御奉仕を始め、年間2200回に及ぶお祭りが行われ、日本の国はもとより、世界の平和、万民の幸福、そして共存共栄が祈り続けられている。
平成10年12月には、春日大社や春日山原始林を含む「古都奈良の文化財」がユネスコの世界遺産に登録。

■春日大社 ホームページ

 

サラヤ株式会社
代々熊野の地で山林業に携わってきた家系であった更家章太氏によって1952年創業。戦後間もない当時、赤痢や疫痢などの伝染病が流行し、大規模な食中毒事故が頻繁に発生していたため、その予防策として、日本初の手洗い用薬用石鹸液や専用供給容器を開発、販売した。以降、世界の「衛生・環境・健康」の向上への貢献を目指し、環境に優しいヤシノミ洗剤をはじめ、様々な環境対応商品の開発と販売、また、原料調達地であるボルネオ等における環境保全活動にも積極的に取り組んでいる。
2010年からは、ハンドソープや手指消毒剤などの自社衛星商品の売上の1%をユニセフが行う手洗い促進活動に寄付する「100万人の手洗いプロジェクト」をスタート、途上国地域や日本の子どもたちの衛生環境向上のための支援活動を継続的に行っている。

■サラヤ株式会社 ホームページ